有給休暇の正しい知識【2026年版】付与日数・取得義務・買取の真実
公開日: 2026-04-27
「うちの会社は有給がない」「アルバイトには関係ない」「忙しくて取れない」——このような誤解は今も根強く残っています。しかし有給休暇は労働基準法で定められた労働者の権利であり、会社の温情でもらうものではありません。正社員もパートもアルバイトも、条件を満たせば必ず付与されます。
本記事では、2026年時点の法改正を踏まえた有給休暇のルールを、付与日数・取得義務・買取・退職時の取り扱いまで網羅的に解説します。「知らないだけで損していた」という事態を避け、堂々と権利を行使できる知識を身につけましょう。
有給休暇とは
年次有給休暇(年休、有給、有休)とは、労働基準法第39条に定められた賃金が支払われる休暇のことです。一定期間勤務した労働者に対して、心身のリフレッシュや私的用事のために、給与を受け取りながら休む権利を保障する制度です。
重要なのは、有給休暇は「会社が与える特典」ではなく、「労働者が法律によって持つ権利」だということ。会社は労働者からの取得申請を原則として拒否できず、就業規則に明記がなくても自動的に発生します。「うちは有給ナシ」と公言する会社があっても、それ自体が違法状態にすぎません。
付与日数の決まり
有給休暇は、(1) 雇い入れの日から6か月継続勤務、(2) 全労働日の8割以上出勤の2つを満たした時点で初めて付与されます。その後は1年ごとに、勤続年数に応じて日数が増えていく仕組みです。
通常付与(週5日勤務)
週所定労働日数が5日以上、または週30時間以上勤務する労働者には、次の日数が付与されます。
| 勤続期間 | 付与日数 |
|---|---|
| 6か月 | 10日 |
| 1年6か月 | 11日 |
| 2年6か月 | 12日 |
| 3年6か月 | 14日 |
| 4年6か月 | 16日 |
| 5年6か月 | 18日 |
| 6年6か月以上 | 20日 |
6年半以上勤続すると毎年20日付与され、これが法定上限です。なお、契約期間が分かれていても実態として継続勤務していると判断されれば通算されます。
比例付与(パート・アルバイト)
週の所定労働日数が4日以下、かつ週30時間未満の労働者にも、勤務日数に応じて比例付与されます。たとえば週3日勤務で半年経過すれば5日、5年半以上勤続すれば10日が付与されます。
「アルバイトだから有給はない」という説明は完全な誤りです。週1日勤務であっても、6か月続けて働き8割以上出勤していれば、年に1日の有給が法的に発生します。シフト制で働く人も、申請すれば取得できる権利があります。
取得義務(年5日)
2019年4月の法改正により、年10日以上の有給を付与される労働者については、年5日以上の取得が会社の義務になりました。違反した場合、企業には労働者1人につき最大30万円の罰金が科されます。
つまり、現在の日本では「有給を取らせない会社」は法律違反です。会社側は労働者と話し合って取得時季を指定するか、計画的付与制度(年4日まで)を活用して、確実に5日以上取得させる責務があります。「忙しいから取らないで」と言われても、それは会社が違法行為を求めている状態だと認識しておきましょう。
取得時の給与
有給休暇取得日には、次の3つのいずれかの方法で賃金が支払われます。
- 通常の賃金(普段と同じ日給・時給)
- 平均賃金(過去3か月の賃金から算出)
- 標準報酬日額(健康保険の標準報酬月額の30分の1)
多くの会社では(1)の通常賃金が採用されており、有給を使った日も普段と同じ給料が支払われます。手当やインセンティブが減る場合もあるため、就業規則を確認しておくと安心です。なお、有給取得を理由に賞与や昇給を不利に扱うことは違法とされています。
有給の買取は可能?
結論から言うと、有給休暇の買取は原則として違法です。労働基準法は「労働者を休ませる」ことを目的としており、お金で代替できる仕組みではないからです。会社が「使わなかった分を買い取る」と提案してくるのは、有給取得を妨害することにつながるためNGです。
ただし、例外的に買取が認められるケースが3つあります。
- 法定日数を超えて会社が独自に付与した分
- 2年の時効を過ぎて消滅した分(事後の任意買取)
- 退職時に消化しきれない残日数
これらはあくまで「会社が任意で行う」ものであり、労働者から請求できる権利ではありません。買取の有無や金額は会社の規定によります。
退職時の有給消化
退職時には、それまで蓄積した有給休暇をすべて消化する権利があります。会社は退職を理由に有給取得を拒否できず、最終出勤日後にまとめて消化することも可能です。
スムーズに消化するためのポイントは以下の通り。
- 退職の意思表示は退職日の1〜2か月前に行う
- 有給残日数を給与明細または人事に確認する
- 引き継ぎ期間と有給消化期間を逆算してスケジュールを組む
- 「最終出勤日」と「退職日」を分けて記載する
有給消化を拒否されたり、嫌がらせを受けたりした場合は、後述の通り労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談できます。
取得を断られた場合の対処
会社は労働者からの取得申請に対して、原則として拒否できません。例外は労働基準法に定める「時季変更権」のみで、これは「事業の正常な運営を妨げる場合」に限り、別の日に変更を求められる権利です。単に「人手が足りないから」「繁忙期だから」だけでは時季変更権の正当な行使とは認められません。
不当に取得を拒否された場合の対処手順は次の通り。
- 就業規則と申請ルートを確認する
- 取得申請書を書面で提出し、控えを保管する
- 会社の人事や上司に、再度申請する
- 労働基準監督署または総合労働相談コーナーに相談する
- 労働組合・弁護士・社労士への相談を検討する
記録を残しておくことが何より重要です。LINEやメールでのやりとりはスクリーンショットで保存し、口頭でのやりとりはメモにまとめておきましょう。
時効と繰り越し
有給休暇には2年間の時効があります。付与された日から2年経過すると、未消化分は自動的に消滅。たとえば2024年4月に10日付与され、2025年4月にさらに11日付与された場合、合計21日まで保有できますが、2026年4月になると2024年付与分の残りは消えてしまいます。
つまり、年間付与日数を毎年使い切るのが理想ですが、すぐに消える前提で「古い分から優先して消化」するのが基本戦略です。多くの会社は古い分から自動的に消化されるよう運用していますが、念のため給与明細の有給残日数を毎月チェックしておくと安心です。
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有給休暇日数計算ツールを使う →まとめ
有給休暇は、労働基準法によって守られた労働者の正当な権利です。正社員もアルバイトも条件を満たせば必ず付与され、会社は年5日以上の取得をさせる義務があります。買取は原則NG、退職時には全消化が可能、時効は2年。これらの基本を押さえておけば、不当な扱いに屈する必要はありません。
まずは自分の有給残日数を確認するところから始めましょう。WebToolBoxの計算ツールを使えば、入社日と勤務日数から正確な付与日数を瞬時に算出できます。休むことに罪悪感を持つ必要はない——堂々と権利を行使し、健全な働き方を実現してください。